湖にて

少々迷ったがあの湖にたどり着いた。車を降り、湖畔をギリギリまで進む。周りにはポツンとした外灯が続いているだけで、湖の深々とした厳かさだけが永遠に正しさを主張しているようであった。
僕は以前一緒にここにきた後輩が吸っていたたばこを少し前に寄ったコンビニで購入していた。袋から取り出し、封を切る。火を付けそれをくわえ煙を肺に入れゆっくりと吐き出す。一本を吸い終わるとじっくりと湖をみる。今日は曇っていて残念ながら星は見えない。少し波が立っていた。
闇だ。体と思考が少しずつ黒くなっていく。このまま闇になれたらいいのに。ここには非現実な考え方を笑う人間はいない。少しだけあるべき姿に戻れた気がした。